【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
夕子は紅緒の言葉にふふっと笑いながら、全員を車に乗せて運転手に合図を出して出発する。
この人数でも車内は広い。
そしてゆっくりと車は発進した。
桃花には見知らぬ場所の景色を眺める。
「この学園、こんなに広いんだ……」
「あぁ。街の中心部にあるこの学園は、幼少部から大学まであるモンスター学園だ。寮内の生徒のための商業施設もある。モノレールもあるし学園都市ってところだな」
隣の紅緒が窓の外を見ながら、言った。
授業終わりの生徒達が、沢山歩いている。
「(そ、そんな大きな学園都市だったなんて!? って知らなかったなんて言ったら呆れられちゃう)」
「なんでもわからない事があれば聞けばいい」
辰砂が言った。
「ありがとうございます」
「私にもいつでも聞いてくださいね」
夕子が優しく微笑んでくれる。
年上の綺麗なお姉さんメイド。
でも、自分が夕子と会える機会もあまりないのでは? とも思う。
「皆さま、お着きになりました」
学園の外れなのか、歩いている生徒は全くいない。
紅緒達は涼しい顔をして降り、校舎と似て創られたのであろう白い巨大な洋館に入っていく。
「あ、あの……」
「大丈夫だ、桃花」
少し怖くなる桃花に紅緒は言う。
理事長に会えば全てがわかる……と、桃花も頷き洋館の玄関へ向かった。