【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「運命という可能性を試してみたのだ」
「おい! じじい! それで桃花が怪我をしていたらどうするつもりだったんだよ! 俺の察知では警備隊はいなかった……監視はしていても離れていたはずだ」
紅緒には、警備隊の存在がわかるようだ。
「ふふ、さすがだな。しかし彼女は怪我一つしていない。紅緒。お前が助けた、違うか?」
「それはそうだが……」
「まさに運命を感じたよ……君たちのね」
「ど、どういう事なんですか? 紅緒くん達が戦ってるのも見ました。あやかしって? まだ、みんな子供なのに子供達が大勢いる学校でどうして危険な戦いをしてるんですか?」
「いい質問だ、桃花さん。……紅緒達の闘いは戦争の縮図なんですよ」
「せんそうの……しゅくず?」
「私や紅緒……この子達もみんな、あやかしです。いえ、正しくは人間と混血をした、半分人間のあやかし。つまり人間の味方です」
「人間の味方……」
その言葉にホッとする。
「今日、貴女が出逢った男は人間と敵対するあやかしです」
「え」
「大人達で全面戦争すれば、甚大な被害が出る。この学園都市を舞台に、パッと見は族の抗争のようですが、世界の均衡を保つ縮小された戦いをしているのです。紅緒達が負ければ、私達の世界が負けたという事。均衡は崩れる事になり、一気に悪いあやかしの彼らは此の世界を自分達のものにする行動を起こすでしょう。だから紅緒達は闘い続け、私達大人はそのサポートをしている」
「そ、そんな……闘いを子供に? ……ひどい」
「それは俺達の宿命で使命だと思ってる。みんな望んでやっている。気にするな桃花」
紅緒も四天王達も、力強い瞳で微笑んだ。