【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「どういう事だ、覚えてないぞ」

 二人が出逢った事があると言われ、驚く紅緒と桃花。

「10年前の事だ。……桃花さんの村は奥深い山奥にある。その山は飛鳥一族が山籠り修行に使う朱見山(あかみやま)のすぐ傍だったんだ」

「朱見山の? 10年前なら俺が二ヶ月の山籠り修行をした時だ」

 朱見山という山は桃花も知っている。
 しかし入ってはいけない霊山だと言われて桃花は入った記憶はない。

「そう。だが修行も終わりかけた夏の日。大変な嵐が起きて村も修行場でも避難勧告を受けた。……そして不運な事に山道を逃げる際、二台の車が土砂に飲み込まれかけた。車を捨てて命からがら山小屋に逃げ延びた。桃花さんと御両親。紅緒と従者一名がそこで出逢ったのだ」

「えっ……」

 桃花と紅緒が顔を見合わせる。
 そんな記憶は二人にはない。

「そして山小屋では妖魔の群れが嵐と共に襲いかかり……その時、皆を助けたのはお前だ紅緒」

「俺が……?」
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