【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
そして紅緒を見ると、呆然としている。
「俺はなんで覚えてないんだ……。六歳の朱見山の修行は覚えているのに」
「……私も全然、覚えてないの。聞いた今でも信じられない……でも『べにおくん』って名前を聞いた時に、何か懐かしい気がした」
朝に出逢ってから、感じてた不思議な感覚。
「不死鳥が二人の記憶を消したのです。この事は『紅刃斬』と『朱雀家』の間で絶対の秘密として隠されてきた。しかしもう不死鳥の巫女となる一年前になった。苺を助け癒やしたように、桃花さんは徐々に才能が開花していくと考えられています。だから貴女をここに呼んだ」
「……そんな……こ、怖いです」
突然そんな事を言われても今は恐怖しか感じない。
「大丈夫。我々は人間と友好的に付き合い、混ざり合ってきたあやかしです。神に仕えし人間達とは特に交流も深い。貴女に力のコントロールを教え守る人間も手配しています。茜、入ってきなさい」
「(あ、あかね? あかねって言った……?)」
「はい」
姿を現したのは、黒髪ボブカットでツリ目が強気な少女。
まさにそれは村でずっと仲良しだった茜ちゃん……!!
「あ、茜ちゃん!? えっどうして!?」
桃花は驚いて立ち上がった。
同じ赤いセーラー服姿で茜はにっこり微笑んだ。