【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「美味いんだろうな~母さんの唐揚げと卵焼き」
馬鹿にすることもなく、紅緒は優しく笑う。
その笑顔を見ると桃花も微笑んでしまった。
「私も、ちょっと料理を習ってて……卵焼きなら作れるかも」
「まじか、すごいな。今度作ってくれよ」
「うん、まだ巻くのヘタだけどね」
「いいじゃん。楽しみだ」
「(なんだか……不思議。怖いと思った気持ちなんかなくなって……紅緒くんと普通に話をしてる。男の子って苦手なのに……不思議)」
不思議な感覚に包まれながら、店内を歩いていると綺麗な色とりどりの花が揃った花屋の前を通り過ぎた。
「わぁ……! 綺麗!」
つい立ち止まって眺めてしまう。
「……花が好きか?」
「うん! えへ、私の名前にも桃と花って漢字が入ってるし小さな頃から好きなの」
「……あぁ、そうだな……」
紅緒の返答が、やっぱり知っているというような優しい微笑みだった。
花畑に二人……一瞬、そんな幻が見えた気がした。
「飾る花を買おう」
「えっ……」
「薔薇や百合、芍薬なんかも豪華で綺麗だが、桃花が好きなのはガーベラやカスミ草かな」
「ど、どうしてわかるの?」
「わかるさ。すみません、花をもらえますか?」
学ラン姿、それも長ラン姿の美少年に話しかけられた店員さんは驚いたようにして紅緒の注文を聞いている。