【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「桃になんか用事?」
桃花より先に茜が答える。
「あんたには言ってない。朱雀桃花に言ってんの」
強気、というよりは失礼な言い方だ。
「お嬢様達が随分な口の聞き方だね~?」
「ふん! 鴻谷家なんて、聞いたこともないし~……寄付もできない一般市民でしょ?」
「寄付……?」
「だっさいビンボー平民達! あたし達の事知らないのぉ~? 寄付金ランク・プラチナなんだけどぉ??」
「寄付金ランク~? あっはっは!! どういう価値観で生きてんの、ここの人間は? 金持ちだろうが寄付金してよーが、あんた達も一般市民でしょーが!」
思わず茜が立ち上がる。
「貧乏人と一緒にしないでよね!」
三人相手にも物怖じしない茜。
教室中が、注目する。
「待って、茜ちゃん! 私、話を聞きに行きます! だから喧嘩みたいな事は、やめてください」
今まで平和に、少人数の村で生きてきた桃花。
茜は気が強く男子相手でも、いつも対等に言い返す子だった。
その強さに、桃花は憧れてきたのだ。
「ふーん。いい度胸じゃん」
「桃、そんな一人で危ない! 私も行く!」
「だから、朱雀桃花だけに用があるって言ってんの! あんたは来るなよ!」
「3対1で卑怯じゃん!」
「茜ちゃん、大丈夫! 化け物じゃないんだもん。これくらい私もどうにかしないと……」
コソッと桃花が茜に言う。
「桃、だめだって!」
「大丈夫」
「……あんたって、大人しいのに度胸はなんか人五倍くらい、ある子なんだよね。わかった」
苦笑いして、茜が椅子に座った。
それを見て桃花が立ち上がる。
紅緒達が必死に戦って、茜までわざわざ自分のために転校してきてくれた。