【完結】不死鳥の巫女はあやかし総長飛鳥に溺愛される!~出逢い・行方不明事件解決篇~
「え、私は大丈夫です……」
「そうなの……あんたは強いんだ……」
「強くはないけど……あなたは大丈夫なの?」
「……ふふ……もう大丈夫……あいつらなんか、どうとでもできるんだぁ」
ギラッと少女の瞳が輝いて、桃花はゾクッと寒気がして一歩下がった。
「えっ……」
「いいの、もう王子様がおしえてくれた……あいつらを……あいつらを……ゲームしよ~っと……ふふ」
ぶつぶつと呟く少女。
片手にはスマホを持って、桃花の肩にぶつかりながらトイレを出て行った。
「……おうじさま……? ……ゲーム? ……あ! 授業!!」
ハッとして授業に戻った桃花。
授業が始まっていたが転校生なので、少しお小言を言われただけで済んだ。
そして昼休み。
無事に戦いを終えた紅緒に誘われ、また四天王達とテラスで昼食をとることになった。
「ねぇ、桃。本当に大丈夫なの?」
コソッと茜に耳打ちされる。
「うん、私は大丈夫」
「なんだ? 何かあったのか?」
既にハンバーガーを食べ終えた紅緒が桃花を見た。
「ううん、紅緒くん達こそ大丈夫?」
「あぁ園外だったからバイクとばして行ってきた」
「バ、バイク……!?」
「ただの公園に湧いた雑魚を退治しただけだ。俺と柘榴だけで行ったさ」
「そっか……良かった」
学園都市内での紅緒達の行動は、特例措置がされると聞いた。
彼らがバイクに乗ることも、特別に許可されているのだろう。
「心配してくれたのか?」
「もちろん、いつだって心配だよ」
「サンキュ」
紅緒が微笑むと、つい桃花も微笑んでしまう。
そんな桃花を見て、また紅緒も微笑んで二人のまわりにポカポカと陽が集まるようだ。
「……そういえば、今日トイレでね」
「ん、何があった?」
桃花は自分のことよりも、あのトイレで会った少女のことが心配になって紅緒に話すことに決めた。