ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 話を終え、今後もマネージャーを続けられる事になった私は上機嫌で彼のマンションまで車を走らせる。

 車内での会話はなかったけれど、居心地が悪い事もなく、あっという間にマンションへ着いてしまったのだけど、

「……あのさ、部屋散らかったから片付けてほしーんだけど」

 そんな彼からの要望で部屋にお邪魔する事になった。

「お邪魔します」

 部屋に入ると特に散らかった様子もなく、いつもと同じで綺麗な状態に保たれている。

「雪蛍くん、どの部屋が散らかってるの? 寝室?」

 リビングは全く散らかっていないから、別の部屋かと思い問いかけると、

「そんなの、嘘に決まってんだろ。今日は他に口実が思いつかなかったからああ言っただけ」

 彼はあっけらかんと言い放った。

「え……」

 言っている意味がイマイチよく分からず、戸惑い気味の私に彼は、

「今までは、仕事でミスするからお前も申し訳ないって思いで部屋まで付いて来てたけど、今日はミスしてねぇからあのまま帰ろうとしたろ? ……要は今日も部屋まで来て欲しかったって事だよ! 言わせるなよ! 察しろよな、そんくらい」

 そう言葉を続けたものの、自分で言って恥ずかしくなったらしく、頬を赤く染めて顔を背けてしまう。

「あ、ご、ごめんなさい」
「謝んなよ、別に、怒ってねぇし。ってか、いつまでも敬語使うなよ。他人行儀なのは嫌いだって言ったろ」

 彼は寝室に続くドアの前に居る私と距離を縮めてくるとドアに手をつき、私は身動きが取れない形に追いやられてしまった。
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