ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「え……」

 一瞬、何が起きているのか分からなくなるくらい衝撃的な言葉だった。

『俺の女になれ』という言葉も勿論衝撃的ではあったけれど、それ以上に、名前を呼ばれた事に私は驚いていた。

「何間抜け面してんだよ。どうなの?」

 驚き過ぎていつまでも答えない私に、彼は再度問い掛けてくる。

「わ、私……」

 返事をしなければと思い口を開くも、いざ言葉にしようとすると感極まった私の瞳からは大粒の涙が溢れてくる。

「なっ、何で泣くんだよ!? 泣くほど……嫌なのかよ?」

 私が涙を流した事で、いつになく彼は慌て出す。

「ごめ……っ違うの……う、嬉しくて……っ」

 そんな彼に途切れ途切れだけど必死に弁解すると、

「だったら泣くんじゃねーよ、馬鹿」

 安堵の笑みを浮かべた彼は私の身体を起こして強く抱きしめてくれた。

「ごめん……」
「謝んなよ」
「うん」

 抱き合う形で暫く会話を交わした私たち。

 彼に一旦身体を離され向かい合うと、どちらからともなくキスをする。

 互いを求め合う、激しい口付け。静まり返る部屋の中に、二人の吐息が漏れていく。

 そして、

「いいよな?」
「うん……」

 再びベッドの上に寝かされ、彼に組み敷かれた私はその問い掛けに頷き、彼を受け入れた。
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