ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 彼のマネージャーになったのは、今から数ヶ月前の事。

「私が、渋谷 雪蛍のマネージャーですか?」

 朝、会社に着くなり社長直々に呼び出された私は突然の話に驚き、思わずそう聞き返した。

 幼い頃から芸能界に憧れを抱いていた私は幼少期に劇団に入っていたもののこれといって秀でた才能もなく、周りの仲間がどんどんデビューを果たす横で自分には向いてないと悟り、中学へ上がる前に芸能界への夢を諦めた。

 けれど、高校生になって将来を考えるにあたり、運動部のマネージャーをやっていて人のお世話をするのが好きという事や、自分が芸能人になるのではなくて、裏方として芸能界の担い手の一人になりたいという思いが芽生え、芸能マネージャーを志そうと決意した。

 それからマスコミ学やマスメディア学などのメディアに関して学べる学科のある大学へ進学。

 そしてその後、縁があってSBTN(エスビーティーエヌ)エンターテインメントという超大手芸能プロダクションに入社する事が出来た私は、優秀な先輩マネージャーに付いて仕事のイロハを学んでいた。

 入社して約一年半、ようやく担当を付けてもらえるのかもしれないという期待を胸に膨らませながら社長室へやって来た私だったけれど、思いもよらぬ事態に頭の中は真っ白になっていた。
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