ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「あ、雪蛍くんのマネージャーさんだぁ」
「どうも」
「あのぉ、ちょっと話があるんですけどぉ」
「お話ですか? それなら個室へ戻ってから――」
「えぇー? それが出来ないから今言ってるんですよぉ? どうしてだか分かります? 雪蛍くんに聞かれたくないって事なんですけどぉ?」

 私と話があるらしい彼女の口振りから、どうやら雪蛍くんに関わりがあり、尚且つ本人には聞かれたくない内容のようだ。

「……分かりました。それでは今お店の方に空いている個室をお借りできるか聞いてきますね」

 いくら芸能人御用達のお店とは言え廊下やトイレで話をする訳にはいかないので、私は空いている個室を少しだけ使わせて貰えないかお店の人に頼みに行く。

 そして、雪蛍くんに少し戻るのが遅くなる旨を伝えた私は彼女と二人きりで案内された個室に入り、店員さんが去って行ったタイミングで「それで、お話というのは?」と早速彼女の話を聞き出そうと問い掛ける。

「結萌、雪蛍くんの事すごーく気に入っちゃったんです。っていうか、前からのファンなの。今回主演同士で運命も感じちゃったしぃ、きっと結萌と雪蛍くんは赤い糸で結ばれてると思うんですよぉ、だからねぇ、マネージャーさんからそれとなーく雪蛍くんに結萌の事お話して欲しいなぁって」

 彼女の話というのは、雪蛍くんとの仲を取り持って欲しいというお願いだった。
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