ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「すみません、わざわざお時間頂戴してしまいまして」
「いえ、お気になさらず」

 指定されたのは高級ホテルの最上階にあるラウンジの一角で、ここだけ個室のような造りになっている。

「あの、桜乃さんは?」
「ああ、結萌は部屋でシャワーを浴びてから来ると言っていますので、今暫くお待ちください」
「そうですか」

 まあ、我儘な彼女の事だから原さんも逆らえないのだろう。

 彼女が来るまでの間、原さんと仕事の話をしていたのだけど、途中で急激な眠気に襲われてしまう。

(何だろ……凄く、眠い)

 相変わらず睡眠時間は削られているし、朝から晩まで働き詰めなのでそれも仕方ないと思うも、今日はいつになく眠気が酷い。

「南田さん、どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと……」

 いくら眠くても人がいる前で眠る訳にはいかないので、側にある水の入ったコップを手に取って一気に流し込んで目を覚まそうとしたのだけど、更に睡魔は酷くなる一方。

「……すみません、何だか少し気分が優れないので、お話はまた日を改めても大丈夫でしょうか?」
「それはいけません。タクシーをお呼びしましょうか?」
「いえ、車で少し休めば大丈夫ですので……」
「そうですか、では車までお送りしますね。すみません、お会計をお願いします」

 原さんは近くに居たボーイさんに声を掛けてお会計を済ませると、睡魔と頭痛で立ちくらみを起こした私の身体を支えながら歩いてくれた。
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