ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 私が居たのは原さんと待ち合わせたホテルの一室。

 意識を失う直前まで彼が側に居た事を考えると、シャワーを浴びていたのは恐らく原さん本人かもしれない。

 車に戻ってきた私はバッグからスマホを取り出して見ると、雪蛍くんからの着信やメッセージが大量に来ていた。

 その時間から私は二時間近くも眠ってしまっていたようだった。

 彼からのメッセージを目にした瞬間、私の瞳からは大粒の涙が溢れ出ていた。

 私が電話に出ない事やメッセージを返さなくて心配している旨が書かれている。

 今日原さんや桜乃さんと話をして来ると言った時、雪蛍くんは自分も同席すると言って聞かなかった。

 だけど、彼も疲れているし、桜乃さんの事を嫌っているのも知っているから、私一人で行くと言った。

 それなのに、こんなに心配を掛けた挙句、私は……。

(どうしよう……私、雪蛍くんに、何て説明したらいいの……?)

 ホテルの一室で服や下着を着ていなかった事や誰かがシャワーを浴びていた状況、そして、酷く皺になっていたシーツ。

 意識がはっきりしていなかったとは言え、私はきっと、雪蛍くん以外の男の人に身体を許してしまったのだ。

「……っ……ごめ、……雪蛍くん……」

 どうすればいいのか分からない私は雪蛍くんに連絡する事も出来ず暫くその場から動けなかった。
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