ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 そして、それから三十分程経った頃、ようやく落ち着きを取り戻した私は、何度目か分からない雪蛍くんからの電話に出た。

「も、もしもし……」
「莉世! 良かった、ようやく繋がった……。お前一体何処に居るんだよ!? 桜乃に聞いたらお前はとっくに帰ったって言うし、桜乃経由で原に聞いたけど同じ答えだし」

 雪蛍くんのその言葉にドキッとする。

 桜乃さんが来る前に私はラウンジから引き上げてしまったからその話に嘘はないけど、原さんまでもが同じ返答というのが引っかかる。

「おい、聞いてるのか!?」
「ご、ごめん……実は何だかすごく体調が悪くなっちゃったから暫く車で仮眠をとって、今さっき起きたところなの……」
「はあ? つーか、平気なのかよ?」
「うん、もう大丈夫。これからアパートに帰るから」
「マンションに来いよ」
「ごめんね、今日はちょっと……もう少し休みたいから……」
「……分かった。アパート着いたら必ず連絡しろよ、いいな?」
「うん。心配かけてごめんね」

 何とか平常心を保ったまま雪蛍くんとの電話を終えた私は何だか本当に具合が悪くなってしまい、頭痛や吐き気に耐えながら何とかアパートへ帰り着いたのだけど、この日以降私は本格的に身体を壊してしまったようで、暫く仕事に行く事が出来なくなってしまうのだった。
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