ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「ふざけるな! 二人きりでなんて会わせる訳ねぇだろうが。その意味、分かるよなぁ?」
「……君が何を言っているのか僕にはさっぱりだよ」
「あくまでもしらを切るつもりかよ」
「そんなつもりはないけどね。それじゃあ、渋谷くんも同席してもらって構わないから、時間取って貰えるかな? 僕の方は、夜なら何時でも構わないから」
「…………分かった。明日、俺の方から連絡する。だからこの電話にはもう掛けてくるな。いいな?」
「……ああ、分かったよ。それじゃあ、また明日」

 電話を終えても尚、雪蛍くんの表情は険しいまま。

「……雪蛍……くん……」

 そんな彼に、どのタイミングで声を掛けたら良いのか迷った末、私が遠慮がちに声を掛けると、

「――悪ぃ、勝手に会う約束しちまった。莉世、明日行けるか? 無理なら俺一人で会ってくるけど」

 急に表情が和らいだ雪蛍くんは、優しく労わりながら問い掛けてくれた。

「大丈夫、体調はもういいの。ただ、ずっと不安で……なかなか復帰出来なかっただけだから……」
「そうだよな。ごめんな、気付いてやれなくて」
「ううん、雪蛍くんは何も悪くないよ。それに、ね……こうして来てくれて、嬉しかった」
「莉世……」

 名前を呼んだ雪蛍くんの手が私の頬に触れる。

「雪蛍……くん……」

 私が名前を呼び返すと彼の指が私の顎を軽く持ち上げ、

「っん……」

 優しく触れるように、唇に口付けてくれた。
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