ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 いつになく控えめで、まるで啄むようなキスをされるけれど、会うのも触れるのも久しぶりなせいか、何だか少しだけ物足りなさを感じてしまう。

 それは雪蛍くんも同じだったようで、徐々に熱を帯びる唇や少しずつ荒くなる息遣いに、私たちはどちらからともなく互いを求めていく。

「雪蛍……くん」
「莉世……」

 名前を呼び合い、互いの存在を確かめ合うように何度も交わされるキス。

 それはどんどん激しさを増していき、身体は疼き出してくる。

 そして、息継ぎをする為に口が薄ら開きかけた瞬間をまるで待ち構えていたかのように、雪蛍くんの舌が私の口内に入り込んでくる。

「んっ、……ふぁ……」

 幾度となく口内を刺激され、舌を絡め取られた私の身体からは力が抜けていく。

 すると、一旦唇を離した雪蛍くんは私の身体をカーペットの敷いてある床に優しく倒すと、熱を帯びた瞳で見下ろしてきた。

「莉世が欲しい……」

 その言葉を合図に私たちは会えなかった時間を埋めるように互いの身体を求め合い、温もりを肌で感じていく。

 結局この夜は私を一人にしたくないと雪蛍くんが泊まってくれて、二人一緒に眠りに就いた。

 あの日から不安で夜もろくに眠れなかった私は彼の温もりに包まれたおかげで、安心して眠る事が出来たのだった。
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