ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 そして翌日、雪蛍くんの仕事終わりに合流した私たちは原さんと待ち合わせているホテルの一室を訪れた。

「わざわざ来て貰ってすまないね。まあ、座ってよ」

 原さんに出迎えられた私たちは部屋に入るとソファーに座るよう促され、向かい合う形で席に着いた。

「あ、何か飲み物でも頼もうか」

 ルームサービスを頼もうとした原さんを遮るように、「そんなのはいいから、さっさと本題に入ろうぜ」と雪蛍くんは彼を睨みつけながらそう言い放った。

 すると、そんな雪蛍くんの言葉に同調した原さんは、

「……そうだね、それじゃあそうしようか」

 ふうっと、軽く息を吐いて話を始めた。

「話っていうのは、あの日、南田さんとホテルで話をした日の事だよ」
「そんな事は分かってんだよ。今更何なんだ? 弁解でもする気か?」
「弁解……というより、あの日の事を、順に説明しなければと思って呼んだんだ」
「説明だ?」
「……南田さんが仕事を休んでいると聞いて、あの日の事が原因ならば謝らなければならないと思ったんだ。南田さん、僕はある人に頼まれて君を罠にかけてしまったんだ。申し訳なかった」
「……ある人に、頼まれた?」

 雪蛍くんに居るだけでいいと言われていた私は今の今まで黙っていたのだけど、彼のその言葉に驚き思わず声を上げていた。
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