ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「おい、そのクソ野郎はどこのどいつだ!? 一体莉世に何の恨みがあって!」
「ゆ、雪蛍くん……落ち着いて……」
「け、けどよ!」
「お願い、今は……」
「――分かった、おい、続きを話せ」

 今にも掴みかかりそうな雪蛍くんを必死に止めた私。

 その事に若干納得いかない様子の彼だったけれど、私のお願いを聞き入れてくれて一旦自身を落ち着かせると、原さんに続きを話すよう要求した。

「……その、誰かというのは、今はまだ伏せさせて欲しい。申し訳ない」
「はあ!? お前、ふざけるのもいい加減に――」

 けれど、原さんの言葉に再び怒りを覚えた雪蛍くんはすぐさま相手に掴みかかりそうになってしまうので、私は咄嗟に彼の手をギュッと掴み無言でその行為を止めると、

「……クソっ!」

 その意図がわかった雪蛍くんは不服そうな表情を浮かべながらも私の手を握り返してくれた。

「本当にすまない。あの日、南田さんが具合が悪いと言ってラウンジを出た僕たちはエレベーターに乗った。その途中で君の意識が無くなったのを確認した僕は、予め取っていた部屋の階で降りて、君を部屋へ連れ込んだ」

 やっぱり、あの日部屋でシャワー浴びていたのは原さんだったのだ。

 話を聞いている途中からあの日の記憶が蘇り身体が酷く震え出すと、そんな私の手を更にギュッと握ってくれた雪蛍くんが口を開いた。

「それで、お前は……意識の無い莉世を、無理矢理……犯したって、言うのかよ……」

 その言葉を口にする雪蛍くんは辛そうだった。
< 48 / 94 >

この作品をシェア

pagetop