ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「あ? んな訳ねぇだろーが。お前、自分が何したか分かってんのか?」
「何って? 私は何もしてないよ? やったのはそこのマネージャーじゃない」
「ふざけるな! お前が指示したんだろーが。何で莉世を目の敵にするんだよ?」
「……そんなの決まってるじゃない。うざいからよ。それに、マネージャーごときが雪蛍くんと付き合ってるのも納得いかないの」

 桜乃さんの言葉を聞いた私と雪蛍くんは思わず顔を見合せた。

 私たちが付き合っている事を知っていたという事実が衝撃的だったからだ。

「雪蛍くんが結萌と付き合ってくれるなら黙ってようかと思ったけど、それは無理みたいだし、スキャンダルにされたくないなら、口の利き方気をつけた方がいいんじゃない? 分かったら、この話は終わり。それでいい?」

 桜乃さんは全く悪びれた様子がない。

 彼女の態度にも発言にも腹が立つけど、私たちの関係を引き合いに出されてしまうと何も言う事が出来ない。

「雪蛍くん、もういいよ。この件はこれで終わりにしようよ……」

 言いたい事は山ほどあるけど、私と原さんの間に何も無かった事さえ知れればそれだけで十分だった。

 だからもう終わりにしようと雪蛍くんに提案したのだけど彼は納得せず、

「駄目だ。俺は桜乃に謝って貰わねぇと気が済まねぇ。莉世を苦しめたんだ、このままなし崩しにはさせねぇよ。自分が悪かったと認めろ。それと、金輪際俺らに仕事以外で関わらないと約束しろ。俺の要求はその二つだ」

 険しい表情のまま桜乃さんに詰め寄った。
< 51 / 94 >

この作品をシェア

pagetop