ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「南田さん、愛されてるねぇ。羨ましい~」

 何がおかしいのか、彼女は笑いながら言葉を続けていく。

「雪蛍くんも馬鹿な男。そんな女の為に、せっかくのチャンスを無駄にするなんてねぇ」
「何が可笑しいんだよ?」
「だってそうでしょ? 私にそんな口利くんだもん。バラされてもいいって事なんでしょ? 二人の関係。証拠だって持ってるのよ? ほら、二人が仲良さそうにしてる沢山の証拠」

 そう言って出してきたのは撮影で旅館に滞在していた時のを始め、プライベートで互いの部屋を行き来している場面など、多数のシーンを写した写真だった。

「まぁ、あまり親密なシーンの写真は無いけど、私やマネージャーの証言もあれば十分でしょ。どうする? 謝るなら、週刊誌に売り込むのだけは止めてあげてもいいよ? 雪蛍くんが結萌の彼氏になってくれるなら証拠は全部捨ててもいいよ?」

 まるで勝ち誇ったかのように有り得ない二択で迫る桜乃さん。

 この中なら当然謝罪を選ぶだろうけど雪蛍くんは、

「はは、笑っちまうな。そんな二択、誰が選ぶかよ。いいぜ? そんなに週刊誌に売り込みたきゃ売ればいい。そんな事で脅せると思ったら大間違いだ」

 ハッキリそう断言すると、彼の反応が予想外だったのか、自信に満ち溢れていた桜乃さんは急に焦り始めた。
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