ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「――この場で言う事では無いと分かっていますが、皆さんにも私が本気である事を分かってもらいたかったので、言わせていただきました。そして、可能であれば私はこれからも仕事を続けていきたい。演じる事も、歌う事も大好きだから。だけど、世間に彼女との事を受け入れてもらえないのであれば、潔く引退をする覚悟でいます。今後については後日、正式に発表させていただきますので、宜しくお願い致します。長々と失礼致しました。ありがとうございました」

 話したい事を話終えた雪蛍くんは深々と頭を下げていた。

 そして、会見の中継はここで終わりのようで画面は切り替わってしまった。

 私はすぐに彼と連絡を取りたくて、ひとまず彼のマネージャーをしている小柴くんに電話を掛けようとスマホを手に取ると、開きっぱなしだったSNSのタイムラインが動き出す。

《渋谷雪蛍の会見、びっくりした》
《あれは無いわw》
《もう引退しろよ》
《散々調子乗りすぎた結果だろ》
《公開プロポーズ? メディアを私物化し過ぎ》
《彼女の名前言っちゃうとか、無いな》
《余程魅力的な彼女なのかw》

 なんて否定的な内容が流れていく中で、

《ってかさ、別に良くない?》
《芸能人だからって恋愛禁止じゃないし、マネージャーが相手でも別にねぇ》
《好き合ってるなら他人がとやかく言う事ではないな》
《雪蛍、カッコ良かった》
《あんなに想われてる彼女羨ましい》
《引退は嫌》
《彼女いてもいいから頑張って欲しい》
《浮気とか不倫じゃないんだし、全然いいよね、好きな人が居て仕事も頑張れたらそれが1番》
《公開プロポーズ、かっこいい!》
《彼女、別れる説得してたとか、可哀想》
《芸能人だって一人の人間よな。恋愛は自由じゃね?》
《あんなに一途に想ってるとか、普通にカッコイイよね》

 徐々に肯定的な意見も沢山上がってくる。

 そんな中、スマホ画面に着信を知らせる通知が来る。

 それは他でも無い雪蛍くんからで、私は慌てて電話に出た。

「もしもし、雪蛍くん?」
『莉世、会見観てくれた?』
「観たよ……観たけど、どうしてあんな……社長から聞かされてた内容と違うし、社長も驚いてたでしょ?」
『まあね。けど俺は初めからああするって決めてたから。例え怒られても、莉世と別れるつもりは無い。別れるくらいなら、仕事を辞める。それくらい、お前の事が好きなんだよ』

 雪蛍くんは、ずるい。

 そんな風に言われたら、もう、何も言えないよ。
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