ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
 差し出してくれた物は小さな箱で、それが何を意味するのか、予想がついた。

 そして、

「莉世、俺と結婚してください。これから先、何があっても俺が莉世の事を守る。仕事はどうなるか分からないけど、莉世の為なら、莉世と一緒に居られるなら、どんな事でも頑張れる。だから、これからはずっと、傍に居て俺を支えて欲しいんだ。マネージャーとしてじゃなくて、俺の奥さんとして」

 さっきの会見の時同様、真っ直ぐな瞳で私を見据えたまま、雪蛍くんはプロポーズをしてくれたのだ。

 すぐにでも返事をしたいのに、言葉が出て来ない。

 嬉し過ぎて、言葉よりも先に涙が溢れてきた。

「莉世……?」
「ごめ……っ、私、泣くつもりなんて……」
「もしかして、嫌だった?」
「違う、違うの……そんな訳ない! 嬉しいの、嬉し過ぎて……涙が……っ」

 私が泣いた事で雪蛍くんを不安にさせてしまって申し訳無いとすぐに否定する。

 嬉しくて涙が出てきたと告げた私を雪蛍くんは、

「そっか、それなら良かった。莉世、返事、聞かせて?」

 笑顔を見せながら返事を聞かせてほしいと言った。

 そんな彼に涙を拭いながら笑顔を向けた私は、

「……私で良ければ、喜んで。私も、雪蛍くんを支えたい。ずっと、傍で」

 自分の素直な想いを雪蛍くんに伝えたのだ。

 返事を聞いた彼は箱から指輪を取り出すと、私の左手を優しく取り、薬指に嵌めてくれた。

 光り輝くダイヤモンドの指輪は凄く綺麗で、これからはもう、雪蛍くんと離れなくてもいい、誰に関係を隠す必要も無いんだと思ったら、泣き止みかけていた私の瞳からはまたしても大粒の涙が溢れ出してくると、彼は私の身体を包み込み、優しく抱き締めながら頭を撫でてくれていた。

 暫く抱き合いながら幸せに浸っていると、雪蛍くんのスマホから着信音が鳴り響く。

 名残惜しげに私から離れた雪蛍くんがスマホを確認すると着信相手は社長からのようで、忌々しげに舌打ちをしながら電話に出た。
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