ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「……二人の気持ちは、よく分かった。まあ、もう今更仲を隠したところで意味も無い。お前たちの今後については、お前たちの意思に任せるとしよう」

 私たちの気持ちを再確認した社長は、半ば諦めもあったのだろう。渋々ながらも許してくれた。

「ありがとう、じいちゃん」
「ありがとうございます、社長」

 私たちは二人で社長にお礼を言いながら深々と頭を下げると、

「頭を上げなさい。雪蛍の仕事についての話があるから」

 そもそもこちらが本題なのだろう。雪蛍くんの今後についての話があると言われ、私たちは頭を上げると再び社長に視線を移す。

「会見の後から、事務所には電話が殺到している。内容としては、会見を私物化している、プロポーズなら他でやれ……とまあ、否定的な意見が多い」

 私がSNSで目にしたような否定的な意見が多いらしく、事務所には苦情の電話が殺到していると言われ、やっぱり世間からは認められなかったのだと肩を落とす雪蛍くん。

 けれど、社長の話には続きがあった。

「――ただ、それだけでは無かった。寧ろ時間が経つごとに雪蛍の一途な気持ちや、二人が上手くいくよう願う声も増えてきている。そして、雪蛍にはこれからも活動を続けて欲しいという声が、大半を占めている状態だ」

 この言葉に、私と雪蛍くんは思わず顔を見合せた。

「まあ私としても、稼ぎ頭のお前を辞めさせるつもりは毛頭ない。否定的な意見はあるにしても、応援してくれる方が圧倒的だ。ただ、これまでと同じとはいかない。騒ぎになって、仕事をキャンセルしたいという企業も多数ある。それは分かるな?」
「ああ、分かってる」
「ハリウッドについても、今は保留の状態だが、高確率で断られる事は覚悟しておけ」
「……ああ」
「活動については辞めないが、騒ぎを起こしたけじめとして、まだ暫くは活動休止だ。お前の今後についてはこちらから各所へ文書を出しておく」
「ありがとう。迷惑かけて、本当にすみませんでした。復帰したら俺、これまで以上に頑張るから」
「期待している。それと、結婚すると決めたのは良いが、決めたからと言って出来る訳じゃない。私は賛成したが、南田さんのご両親には伝えていないのだろう?」
「はい、まだです……」
「これだけの騒ぎになってご両親は心配なさっているだろう。雪蛍、まずはお前から謝罪と、改めてきちんと挨拶をするように。分かったな?」
「ああ、勿論」

 こうして雪蛍くんは今後も仕事を続けるという事で話は纏まり、再度お礼の言葉を口にした私たちは事務所を後にした。
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