ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「雪蛍くん!」
「ごちゃごちゃうるせぇよ! お前はいつもみたいに俺の言う事さえ聞いてればいいんだよ」
「止めて! 離して!」
「黙れよ。ってか誰に向かって物言ってんだよ。クビになりたくなけりゃ大人しく俺の言う事聞けって」

 押し倒された私は両腕を力強く押さえ付けられ、更には今までにないくらい鋭い目付きで睨まれていた。

 今まで何度も押し倒され、身体の隅から隅まで彼に見られ触られて来たけれど、こんな風にただ睨み付けられるだけというのは初めての事。

 視線を外す事も身動きする事も出来ず、徐々に恐怖を感じてしまう。

「さっきまでの威勢はどうしたんだよ?」
「そ、それは……」

 私はただ、仕事をこなしたいだけ。

 雪蛍くんのマネージャーとして、彼を全力でサポートしたいだけなのに。

 どんなに決意を固めても、こうして力で抑え込まれてしまえば何も出来ない無力な自分を思い知り、私は悔しさを滲ませる。

「……何で、そんな顔すんだよ」

 そして、気付けば私の視界は歪み、頬には一筋の涙が伝っていく。

 それを見た彼は、

「っち! 面白くねぇ。興醒めだ」

 そう口にして私を解放すると、苛立ちながら楽屋を出て行ってしまった。
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