ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「僕が莉世さんを選んだ一番の理由は、一緒に居ると、心が休まるからです。マネージャーとして支えてくれていた時から安心感を感じていて、彼女が俺の恋人として傍に居てくれたらいいのにと考えていました」
「……けど、君と莉世とじゃ、年齢も離れているよね? ましてや君はまだ若いし、人気の芸能人。この先そういう女性と出逢う可能性だって十分にあるだろう?」
「いえ、それは絶対にありません」
「……何故、そこまで断言出来る?」
「僕が莉世さん以外の女性に興味が無いからです。莉世さんは女優やモデル、アイドルよりも魅力的だと思っているし、彼女以上の女性がいるとも思えません。もし、僕たちが駄目になるとすれば、それは莉世さんが僕の事を嫌いになるか、愛想を尽かすか……それだけです」

 雪蛍くんの言葉に、お父さんは勿論、お母さんと私ですら呆気にとられていた。

 そこまで断言されるとは思ってなかったし、何よりも、雪蛍くんの本音を聞けた事が嬉しかった。

「お父さん、心配してくれるのは嬉しいよ。でもね、私も雪蛍くんの事が本当に大切で、誰よりも素敵な人だって思ってる。私が雪蛍くんを嫌いなる事も、愛想を尽かす事も無いから、絶対大丈夫! 私たちは何があっても、二人で乗り越えていけるから」

 私の言葉を聞いても相変わらず仏頂面のお父さん。

 次はどんな質問をされるのか、内心ハラハラしている私の横に座っていた雪蛍くんが突然立ち上がると、

「相手が僕のような芸能人で、未熟者だから不安に思うのは無理も無いと思います。ですが、莉世さんを想う気持ちは誰にも負けません。これから先、出来る限り苦労はかけないつもりでいますし、何よりも、僕と一緒になって良かったと思ってもらえるよう、精一杯彼女を幸せにします。ですから――どうか、莉世さんとの結婚を許していただけないでしょうか? お願いします」

 真っ直ぐ前を見据えてお父さんとお母さんに思いを伝えた彼は、深々と頭を下げた。
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