ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情【完】
「疲れた……」
「お疲れ様、雪蛍くん」

 彼のマンションへ帰って来た私たち。

 リビングに入るなり雪蛍くんは崩れるようにソファーへ横になった。

 行きの車の中でも、私の実家でも終始緊張していた雪蛍くん。

 帰りの車の中では寝てていいよと言っていたのだけど、社長から電話が掛かってきた事で寝る時間が取れず、結局マンションまで起きていた。

 そんな雪蛍くんは自宅に着いて安心したのだろう、ソファーに横になりながら急に甘えた態度を取ってくる。

「莉世、来て」

 そう手招きされた私は荷物を置いて彼の元へ。

 すると、

「きゃっ!?」

 雪蛍くんに腕を掴まれた私はバランスを崩して彼の胸へと倒れ込んだ。

「もう、雪蛍くん、危ないよ」
「いいから、ここに横になって」
「もう……」

 甘えてくる雪蛍くんが可愛くて、私は言われた通り彼に身体を密着させて二人でソファーの上に横になった。

「……良かったよ、結婚、許してもらえて」
「うん」
「莉世のお父さん、最初マジで怖かった」
「あはは。あんなお父さん見た事無かったから私もびっくりした」
「やっぱり娘の相手ともなると、そうなるんかな」
「うーん、そうかも?」
「俺も、将来娘が出来たらそうなるかもしれねーな」
「うん、それは間違い無いね。溺愛するよ、雪蛍くんは」
「可愛いだろうけど、結婚とかってなったら身が持たねぇな……そんな思いするのは嫌だから、息子の方がいいかもな」
「あはは。っていうか気が早いよ、子供の話なんて」
「そうかな? 俺としては、すぐにでも欲しいよ、莉世との子供」
「雪蛍くん……」
「けどまぁ、暫くは二人の時間も堪能したいよな。仕事始まったらまた忙しくなるかもしれねーし」
「そうだね」
「莉世は、どうしたい?」
「え?」
「莉世は早く子供欲しい? それとも、暫くはいらない?」
「……二人の時間も欲しいけど……雪蛍くんが仕事で傍に居られない事が多いと淋しいから、子供が居るのもいいのかなって思う」
「そうだよな、俺が帰り遅いと、莉世、一人で寂しいよな……それじゃあやっぱり、早めに子供も作らないとな?」
「……まあでも、そういうのは授かりものだから……」
「そうかもしれないけどさ、きっと早く出来るよ、毎日愛し合えば、ね?」
「もう、雪蛍くんってば。それが一番の目的でしょ?」
「そんな事ねぇって。つーか毎日一緒に居るのに莉世に触れないとか、有り得ねぇから――」
「――んんっ」

 話し途中で急に唇を塞がれた私は驚いたけど、すぐに、雪蛍くんに身を任せた。
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