拝啓、親愛なる魔王様へ【親愛なる魔王の君へ×人狼様に嫁ぎます】

イヴァンが魔法を解除すると、浮いていたペンはゆっくりと机の上に落ちる。

「……こんな感じだよ。この世界にある魔法は、違うのかい？」

イヴァンの問いかけに、レオンはこの世界にある魔法の説明をした。

「なるほど……」

イヴァンがそう呟くと、部屋のドアが開く。そこにいたのはギルバートで、ギルバートの肩に1話のカラスが止まっていた。そして、ギルバートは腕に黒い毛をした動物（？）を抱えている。

ギルバートは、珍しくどこか悲しげな表情をしており、それを見たクラルは眉を下げた。

「ギルバート……」

クラルが声をかけると、ギルバートはクラルを見る。そして、ルーチェに目を移すと「……すまんな」と小さな声で謝った。

様子のおかしいギルバートに、クラルは近づく。ルーチェも、また立ち上がってギルバートに近づいた。

「ルーチェ、こいつを受け取ってくれないか？」

そう言って、ギルバートは腕の中にいる動物（？）をルーチェに差し出す。見覚えのある姿に、ルーチェは「いずな！？」と名前を呼んだ。

次の瞬間、ルーチェの耳元でパキン、と音がし、コロンと床に何かが落ちる。

ルーチェが音がした方を見ると、ルーチェの持つ呪具の装飾品が、床に落ちていた。装飾品は割れており、ルーチェはそれを拾う。