拝啓、親愛なる魔王様へ【親愛なる魔王の君へ×人狼様に嫁ぎます】
「なるほど。呪具が破損したから、前までの姿に戻ったんだ……でも、一体何で?」

ルーチェが首を傾げると、ルーチェの手の中にある装飾品が黒い光を放った。

「何!?なになに!?」

突然のことに、ルーチェは混乱する。黒い光がルーチェを包み込み、その光が収まるとそこにはルーチェの姿はなかった。

カラン、とルーチェが背負っていた呪具とその装飾品が床に落ちる。

一瞬の出来事に、その場にいた全員は呆然とした。そして、クラルは「ルーチェ!?」とルーチェの名前を呼ぶ。

「一体、何が起きたんだ!?」

アーサーの声が、部屋に響き渡った。



「……」

光に包まれてから意識を失っていたルーチェは、ゆっくりと目を開ける。しばらくぼんやりとしていたルーチェは、声が聞こえてきたのをきっかけに一気に頭が冴えていった。

内容までは聞き取ることは出来ないが、人がいるようだ。

「……どこだろう、ここ……」

ルーチェはそう呟きながら、体を起こす。次の瞬間、謎の倦怠感がルーチェを襲った。

(……体が、だるい……)

体を起こすことも億劫になり、ルーチェは再び横になる。

(……本当に、どこなんだ……ここ……)

「……目が覚めたみたいだな」

そんな声がルーチェの頭上からし、ルーチェは声がした方を見た。
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