拝啓、親愛なる魔王様へ【親愛なる魔王の君へ×人狼様に嫁ぎます】
クラルの服をルーチェは引っ張り、クラルを引き止めた。

「……僕も、戦う」

「え?無理はしなくていいんだよ?」

「僕にも戦わせて。クラル様のおかげで、大分楽になったから」

ルーチェは、真っ直ぐにクラルを見つめる。クラルは、背負っていたルーチェの呪具を手に取り、それをルーチェに差し出した。

「……分かった。でも、無理はしたら駄目。しんどくなったら、休むこと。いいね?」

ルーチェは無言で頷いて、クラルから呪具を受け取る。

「……ルーチェ、行くよ」

クラルがルーチェに微笑みかけると、ルーチェは立ち上がると「うん!」と返事をした。



しばらく戦っていると、空間が急に元に戻り、皆は動きを止める。皆は屋敷の中におり、先程まで魔法を連発していた女性と男性は、誰かに拘束されていた。

「皆、遅くなってごめん」

そう言いながら姿を現したのは、フェリシアーノだった。

「フェリシアーノ!」

「王都でモンスターが暴れていてね。そのモンスターを倒そうとしたら、すべて白状してくれたんだ。兵士が押さえているあの2人に操られていたことをね。それから、場所を聞き出して、ここまで来たんだ。この2人は、魔力をすべて奪った上に投獄する。連れて行け」
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