たとえこれが、何かの罠だったとしても。
私も、少し遅れてバトンを受け取り走り出す。

西村先輩と櫂を必死に追いかけ、なんとか食らいつく。

「相変わらず、楓は規格外だな」

「負けません!」

「俺だって、楓に負けたくない!」

混戦しながら、アンカーへのバトンを渡す。

少しの差ではあるけど、私が一番最初にアンカーの元へたどり着いた。

帰宅部アンカーは、3年生の内山雅人先輩。

内山先輩は学校外でバスケクラブに入っており、運動神経抜群だ。

「内山先輩、よろしくです!」

「楓だけで十分だろこれ」

なんてぼやきながらも、陸上部とバスケ部を振り切り一位でゴールしていた。
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