たとえこれが、何かの罠だったとしても。
手を引っ張れ、とりあえずゴールに向かう。

「1着、赤団、青田鋼くん!借りてきたものは…『大切な人』ですね!」

「突然ごめん」

「全然!私も、鋼は大切な人だよ」

鋼は、私にとって家族のようなものだ。

昔から、みんなで毎日のように笑って過ごして…。

今までも、これからも、ずっとこの幸せが続いて欲しい。

少し複雑そうな表情を浮かべていた鋼だけど、審判の人に合格を貰い、一緒にテントに戻った。

そして、次のレースでゴールした櫂が連れていた人は…。

「伊吹さん!?」
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