たとえこれが、何かの罠だったとしても。
翌日、早速挑戦してみた。

ところが、作ってみたはいいものの、結果は失敗。

食材を無駄にしたことへの罪悪感と、自分への不甲斐なさに泣きそうになったときー。

『楓、失敗は成功のもとなのよ。そんなに悲しまなくてもいいの。一緒に練習しましょう。お母さんが、教えてあげるわ』

そう言って、お母さんが作り方を優しく教えてくれた。

お母さんと一緒に作ったハンバーグは、デミグラスソースたっぷりで。

とても美味しかったのを覚えている。

家には料理人を雇っており、仕事を奪うことになるからと、私とお母さんだけの秘密だった。

こっそり、2人で笑って食べたものだ。
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