たとえこれが、何かの罠だったとしても。
私も席を外した方がいいかと思ったけど、伊吹さんが一緒にいてもいいと言ったのだ。

「さて、何から話そうか。…の前に、伊吹、そちらの可愛らしいお嬢さんとはどういう関係なの?」

「私は西園寺楓です。伊吹さんは、私の大切な執事で」

「そうか…。楓ちゃんは西園寺グループの?」

「はい、父がお世話になっています」

「気安く名前で呼ぶなよ」

「はいはい、見え透いた嫉妬だね」

嫉妬?なんで伊吹さんが?

「俺は桜田涼。涼って呼んでね?」

「はい、涼さん。よろしくお願いします」

「こちらこそ。…もしかして、伊吹も見つかっちゃった感じ?」
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