たとえこれが、何かの罠だったとしても。
お母さんとお兄ちゃんがいなくなってしまっても、お父さんは変わらず私を大切にしてくれている。

でも、伊吹さんのお父さんは違うんだ。

伊吹さんのお父さんは、何を考えているんだろう。

どんな人なのかな…。

「真さんは、昔から数々の不正を働いている。手を組んでいる会社だってたくさんだ。…でも、俺は野放しにはさせない。証拠を揃えて、必ず告発する」

「ありがとうございます…」

涼さんと伊吹さんの身に何かある前に、この問題を解決させなければ。

何かあってからでは遅いって、私が一番分かっているつもりだから…。

「じゃあ、涼さんは伊吹さんの隣の部屋でいいかな?」

「はい、ありがとうございます」
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