たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「棗さんの変わりぶりにもびっくりしたけど、楓ちゃんは本当にいい子だね」

「惚れるなよ」

「はいはい、可愛い弟の初恋相手を奪ったりしないよ」

「は、初恋!?…うるせぇよ!!」

確かに、楓は俺にとって初恋の人だ。

楓の良さなんて、知れば知るほどたくさんある。

世の中の男、みんな楓に惚れてしまうかもしれない。

そんなバカみたいなことを思ってしまうくらいには、楓にベタ惚れだ。

楓は1人でなんでも抱え込み、1人で苦しんでいる。

その負担を、俺も一緒に支えていきたい。

お兄さんやお母さんの死を、自分のせいだと責めて泣く楓の姿は、見ていてすごく辛かった。
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