たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「文化祭で、クラスの出し物を決めるんですけど、まだ決まってなくて…。もしそうなったら嫌だなって」

もう決まっているけど、あえて嘘をついて誤魔化す。

「俺は見たいけどな。楓のメイド姿、絶対可愛いし」

「か、かわっ!?」

「ああ、でも、他の男にそんな可愛い姿見られたくないからな、やっぱダメだな」

伊吹さんは、いつもこうやって私をからかってくる。

私がいつもドキドキしてるの、知らないんだろうなぁ。

「楓、これめっちゃうまい!」

「ほんと!?良かった!」

今日のお菓子はアップルパイ。

お母さんとよく一緒に作ったお菓子だ。

「楓、俺にも一口」

「良いですよ。どうぞ」

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