たとえこれが、何かの罠だったとしても。
カフェオープン10分前。
開店していないにもかかわらず、廊下にはお客さんが列をなしている。
「もう100人近く並んでいるわね」
「ほんと、忙しくなるね」
調理班が忙しそうに動き回っている。
「何か手伝えることある?」
「いや、楓は接客に集中して。俺たちの焼肉がかかってるから!」
と、断られてしまった。
その焼肉のために、私もクラスに貢献しようと思ったのに…。
みんな、しみずんのご褒美にやる気が満ち溢れているみたいだ。
そして、開店と同時にお客さんが入ってくる。
あっという間に、席は満席だ。