たとえこれが、何かの罠だったとしても。
おいしそうなパン屋さんを見つけて入ることにした。

カフェ形式になっていて、お店で食べることもできるらしい。

「あら、楓ちゃんじゃない」

「真紀先輩!お久しぶりですね」

体育祭の色別リレーを機に仲良くなった、大原真紀先輩だ。

「ご注文は何にしますか?」

「クロワッサンとメロンパンとカレーパンと…」

増えていく品数に、真紀先輩は目を見開く。

「クリームパンと、シナモンロールと、フォカッチャと、パン・ド・カンパーニュ…」

「ちょ、ちょっと。そのくらいで!」

「あ、胡桃。…すみません」

しまった。勢い余って、頼みすぎてしまった。

「もう、何してるのよ…」

「はい、お待たせしました。…意外と食べるのね。」

「お腹減ってしまって…。いただきます!」
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