たとえこれが、何かの罠だったとしても。

伊吹サイド

早めに家を出たものの、渋滞に捕まってしまった。

楓に連絡を入れると、外で待っていると返信がくる。

店の中で待っているようにと送ったが、既読がつかなくなってしまった。

そして店に着いたが、楓の姿が見えない。

店内に入ったのかと思い店の中へと入るも、楓はいなかった。

何か嫌な予感がする…。

すると、道の端に落ちているカバンが目に入る。

近づくと、それは楓のカバンだった。

ドクンと心臓が音を立てるのと同時に、俺のスマホが鳴った。

おそるおそる電話に出ると、

「もしもし、伊吹?俺だよ」

世界で1番聞きたくない男の声がした。

「……おまえ、楓をどうした!?」

「ちょっと待てよ。楓って誰のこと?」

「とぼけるな!おまえが攫ったんだろ!」
< 148 / 220 >

この作品をシェア

pagetop