たとえこれが、何かの罠だったとしても。

楓サイド

目を開けると、ひんやりとした感覚がした。

コンクリートの上に横たわっていたらしい。

……私、誰かに誘拐されたんだ。

すると、突然扉が開き、一人の男が微笑んでこちらを見ている。

「やあ、西園寺楓さん」

男の笑顔に、底知れない恐怖を感じる。

じわりと、手に汗が滲んだ。

「あなたは、誰ですか…」

「この顔に、見覚えがないかな?」

じっと男の顔を見ると、ある人たちが思い浮かぶ。

まさか、信じたくないけど…。

「伊吹さんの、父親…」

「正解です。正解者に拍手…なんてね?」
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