たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「ふざけないで!あなたは、人をなんだと思ってるんですか!?伊吹さんたちは、あなたの元に帰ることを望んでいません!家族を壊し、伊吹さんの心を傷つけて…。これ以上、2人を苦しめないでください!」

怒りで頭に血が上る。

こんな男のせいで、伊吹さんは……。

すると、男は急に笑い出す。

「君は本当に面白いね。…目障りだな」

睨みつけられ、私の体は硬直する。

「楓さん、君は知っているのかな?西園寺柳の死の真相を……」

「え…」

掠れて、声が震える。

お兄ちゃんは、私を庇って死んだ。

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