たとえこれが、何かの罠だったとしても。
信号は、確かに『青』だったけど…。

「柳さんは、私が殺したんですよ。不慮の事故で死んだとされてきた。君を庇ってね…。でもそれは違う。…これは、君のお父さん、棗さんが君のためを思って隠したんだ」

この男の言っていることが、理解できない。

お兄ちゃんを、殺した?

「本当は、柳さんだけではなく、あなたも殺すつもりだった。…でも、彼はあなたを庇った。そのせいで、計画は失敗してしまいました。まあ、半分は成功しましたが」

なんで……。どうして……。

「お兄ちゃんは、私の大切な人だった!いつも笑顔で、カッコよくて優しい人気者で…。頭も良くて運動もできて…。私のことをいつも気にかけてくれてた。そんなお兄ちゃんが大好きだった…」

そんなお兄ちゃんが、私の目の前で亡くなるなんて、誰が想像できただろう…。
< 155 / 220 >

この作品をシェア

pagetop