たとえこれが、何かの罠だったとしても。

16.再開

何も見えない。何も聞こえないー。

どこを見渡しても、真っ白で何も見えない。

「ここはどこ?」

問いかけても、誰も答えてくれはしない。

私、死んじゃったのかな…。

「楓…」

どこからか、私を呼ぶ声が聞こえた。

後ろを振り返り、その姿を見て目を見開く。

「お兄ちゃん!?お母さんも!!」

そこには、死んだはずの2人がいた。

「お兄ちゃん、私、ごめんね…。私のせいで、お兄ちゃんが、お兄ちゃんが!」

「楓。俺はそんな風に思ったこと、一度もないよ」

なんで、なんで私を責めないの…?

お兄ちゃんは、私のせいであんな目に遭ったのに。

「私のせいで、お兄ちゃんは死んで、お母さんも追い詰めて…!」
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