たとえこれが、何かの罠だったとしても。
お母さんは、お兄ちゃんを失ったことですごく苦しでいた。

私には、どうすることもできなくて…。

ずっと、ずっと謝りたかった。

「ごめんなさ…」

言い終わらないうちに、抱きしめられる。

「お母さん…」

「楓、私は楓のことずっと心配してたのよ。お母さん、楓を置き去りにしてしまったから…」

お母さん…。

「私、お母さんにもっと料理を教えて欲しかったの!ハンバーグだけじゃなくて、から揚げに、オムライスに…」

「いいわよ。これからはいつも一緒にいられるものね」

私は、お兄ちゃんとお母さんと再会を果たした。

もう、一人じゃないんだ…。
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