たとえこれが、何かの罠だったとしても。

楓サイド

『早く、早く目を覚ませ!』

どこからか、声が聞こえる。

悲しみに満ちている悲痛な叫び。

『楓、俺を置いていくな…』

『楓、目を覚ませ!楓…楓!』

やっぱり、誰かが私を呼んでいる。

「どうしたの?」

「お母さん。誰かに、呼ばれている気がして…」

どこかで聞いたことがある声。

でも、思い出せない…。

「楓、自分が信じる道を進むんだ。後悔しないように」

「でも、せっかくお兄ちゃんたちに会えたのに…」
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