たとえこれが、何かの罠だったとしても。
謝ることなんて、何もない。

俺たちの元へと戻ってきてくれた。

それだけで、充分幸せだ。

「よし、先生を呼ぶからな」

「回復力がすごいです。奇跡ですよ」

駆けつけてきた先生は、びっくりした様子だった。

楓が入院中に警察によるあいつへの取り調べが行われた。

棗さんが集めた証拠により、数々の犯罪行為が白日の元へと晒されたのだ。

これからいろいろな罪状が出てくるだろう。

あいつも終わりだな。

そして、あの事故もあいつが仕組んだに違いない。

1歩間違えれば、楓は死んでいた。

考えるだけで恐ろしく、憎しみが募る。

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