たとえこれが、何かの罠だったとしても。

胡桃サイド

楓が事故に遭ったと聞いた時は、心臓が止まるかと思った。

3人で病院へと駆けつけた時には、楓は全身チューブだらけで集中治療室へ運ばれていき、私たちはその場で立ち尽くしていた。

でも、楓が目を覚まして笑っている姿を見て。

私たちは奇跡が起こったと思った。

今度こそ、楓は幸せになれると信じて疑わなかった。

しかしー。

現実はそう、上手くはいかない。

楓の兄、柳さんとは私たちもよく遊んで貰っていた。

そんな彼が亡くなったことに、私たちも衝撃を受けた。

でもそれ以上に、家族を失った楓は笑顔を失った。

そして、楓のお母さんまでもいなくなってしまい…。
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