たとえこれが、何かの罠だったとしても。

楓サイド

机に座りぼーっとしていると、鋼に一緒に帰ろうと言われた。

正直今は一人になりたかったけど、鋼に『大事な話がある』と言われてしまった。

「楓、最近元気ないな」

「そ、そんなことないよ!元気、元気!」

「嘘だ。だったらどうして、最近一人で考え込んでるの?」

「なにもないよ!私は元気だから。気にしないで。ね?」

「…無理。俺、最近の楓見てたら苦しい」

「鋼…」

「伊吹さん、だろ?」

「え…」

「楓、伊吹さんと離れてからずっと元気ない」

「うん、そうだね…」

みんなから見ても分かるほど、落ち込んでいたらしい。

もう、認めるしかない。

伊吹さんに振られて、姿を見ることも話すこともできなくなってー。

苦しくて、切なかった。
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