たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「おい、俺言ったよな?楓に変な感情を抱くなって。あ?なんで楓が、おまえのことを伊吹さんって呼んでるんだろうな?ん?楓のことを泣かせたら殺す…」

「こ、心得ております…」

考え事をしていた私には、お父さんたちの会話は聞こえていなかった─。



「楓、いつもこれくらいの時間に登校しているのか?」

「はい、みんなと待ち合わせしているので」

「みんな?」

「はい!あ、あそこで待ってる3人です!」

「楓、おはよー」

家の門の横で、こちらに向かって元気よく手を振っているのは山下櫂。



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