たとえこれが、何かの罠だったとしても。
「俺、楓に告白しました」

「っ!そうか…」

「伝えて良かったです」

「…楓を、幸せにしてやれよ」

そう言って、家の中に入ろうとした伊吹さんの胸倉を掴んだ。

なんで、なんでこいつは……。

「なんで分からないんだよ!?楓が、どれだけ伊吹さんのことを想っているか…。楓、おまえと出会うまで、いつもどこか作った笑顔を貼り付けて、明るく振舞って、見てられなかった。俺には、どうすることもできなかった…。でも、あんたは!あんたのいるようになってから、楓は変わったよ。毎日、本当に楽しそうだった。前よりもっと可愛くて可愛くて、仕方なかった。俺には、楓を笑顔にすることができないんだよ…。おまえだって、いつも楽しそうに楓と笑ってたじゃないか。俺に見せつけるかのように…。正直こいつ、消えろって思った。でも、やっぱり楓にはおまえしかいないんだよ…」
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